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 「ねぇ、東雲さんのその笠はどこで手にいれているの?」
 
 不意に、恋人からそんな質問を投げかけられて、東雲は読んでいた草紙から顔を上げた。
 時刻は午前七時。未だ仕官ならぬ身の東雲は別として、勤務があるはずのレイは忙しい時間のはずなのだが、朝の時間くらいは一緒に過ごしたいものだと、お互い出来る限り一緒に食事をするようにしているのであった。
 
「どこと言われてもな、そんなに珍しいかな?」
 
 自宅では流石に笠をかぶっていない東雲だが、ありもしない笠を求めるように、頭を後ろに撫でつけるようにさする。
 確かに、東雲の笠は特徴的とはいえ、それほど珍しいものではない。
 今でもムロマチにいけば笠をかぶった旅人をみることが出来るだろう。
 とはいえ、カーシャにいた頃から常に被っているのだかあら、確かに怪しまれても仕方がないと言えば仕方がない。
 
「特に秘密がある訳じゃぁないよ。
 普通の店で普通に注文をして頼んでいるだけだ」
 
 
 
 
 
 ――薄暗い路地裏。
 すえた臭いと、ぎらつくような視線。
 一歩足を踏み入れれば、そこは表の世界とは全く違う規律の支配する悪徳の都。
 一つ隙を見せれば骨まで食い尽くされるはぐれ者の住まう所。
 そこに、深く笠をかぶった黒い装束に身を包んだ男が一人足を踏み入れる。
 顔を笠で隠し、足音をたてず、気配を気取られぬ用に進む。
 もはや男そのものがこの闇の一部ではないかと言うほどに潜み、一体化していた。
 四半時も進んだ頃、男が一つの扉を逆手に叩く。
 特徴的な音階。それは扉の向こうへと己の身分を示す符丁であった。
 程なくして扉がほんの少しばかり開き、短く言葉をかける。
 
「物は」
「笠を一つ」
「金は」
「いつもの通りに」
「……持っていけ」
 
 扉の隙間から突き出される笠をうけとり、男は再び闇の都へと潜んでいく。
 東雲の笠ーーそれは、こうして受け取られているのであった。
 
 
 
「と、いうものかと」
「レイさん、君は少し空想癖が過ぎるようだ」
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