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どうにもこうにも忙しい。
東雲はため息をつきながら帰路についていた。
出国すると決めてから、かつて宿屋を開いていたときに世話になった仕入れの道。
それだけでなく、個人的に築いていた忍びのあれやこれやとした仕込みのやり直しと、士官の仕事をしていた時よりも慌ただしい雑事が東雲に襲いかかってきたのである。
別段放っておいてもよいようなものなのだが、そうすると、またこの国に戻ってきたときに一から関係を作り直さねばならない。
下手な不義理は関係を零下にまで冷え込ませてしまうからだ。
そんなわけで、ここのところの東雲はゆったりと恋人と語らうことも出来ず、これから自分も追いかけて入国するであろう国の事も知れなかった。
今日も早めに帰ろうとしたが、やはり捕まってしまい、帰りつく頃にはすっかり月が浮かび上がってしまっていた。
「やれやれ……もう夜鳴きそばも店じまいの頃合いだな」
東雲が空腹を訴える胃袋にそんな相づちをうちつつ玄関をあけると、静まり返った部屋だというのに、居間から明かりが漏れているではないか。
はて、まだ起きていたのかと足を向けると、そこには同居する恋人の姿こそ見えなかったが、机におかれた皿と手紙があった。
「ほう、菓子か!」
空腹とはいえ、寝る前に重い食事をする気になれなかった東雲はこれ幸いと一つ焼き菓子を口に放り込みながら手紙を広げた。
そこには短いものの、心配と愛情のしっかりつまった文が綴られており、東雲は胸と腹を同時に満たしたのであった。
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